Preferred Networks

Preferred Networks (PFN) の歴史と事業概要

Preferred Networks株式会社（PFN）は、東京大学発のスタートアップ企業として、2014年に設立されました。ディープラーニング技術を中核に、IoT分野を中心とした幅広い産業への応用を目指し、革新的な技術開発と事業展開を進めています。

設立と初期の取り組み

PFNは、東京大学でACM国際大学対抗プログラミングコンテスト日本代表を務めた西川徹氏らによって設立されたPreferred Infrastructure（PFI）からスピンアウトする形で誕生しました。PFIは、自然言語処理や検索エンジンの開発を目的として設立され、大規模検索エンジンSedue、連想検索エンジンReflexaなど、複数の検索関連製品を開発・提供していました。これらの技術は、後のPFNの事業基盤を築く上で重要な役割を果たしました。

エッジヘビーコンピューティングと重点事業

PFNは、デバイスが生み出す膨大なデータをネットワークのエッジで処理する「エッジヘビーコンピューティング」という概念を提唱し、その実現を目指して事業展開を進めています。特に、交通システム、製造業、バイオ・ヘルスケアの3分野を重点事業領域として位置付け、各分野における課題解決にAI技術を活用したソリューションを提供しています。

Chainerと主要な技術提携

深層学習フレームワークChainerの開発・公開は、PFNの技術力を世界に示す大きな転換点となりました。Chainerは、柔軟な設計と高い拡張性を特徴とするオープンソースのフレームワークとして多くの開発者に利用され、PFNの技術力を高めると共に、トヨタ自動車、ファナック、国立がん研究センターなど、多くの企業や研究機関との協業を促進しました。2019年にはChainerの開発を終了し、PyTorchへの移行を発表しています。

多様な事業展開と成長

PFNは、設立以来、数多くの企業との資本・業務提携や資金調達を実施し、急速な成長を遂げてきました。トヨタ自動車、NTT、ファナック、NVIDIAなど、業界を代表する企業との連携を通じて、技術開発を加速させると共に、AI技術の社会実装を推進しています。さらに、PFNは、がん医療システムの開発や、自動運転技術の開発など、多岐にわたる事業を展開し、社会貢献にも積極的に取り組んでいます。

子会社設立と新たな展開

近年では、ロボット開発を行うPreferred Roboticsや、計算化学に特化したPreferred Computational Chemistryなど、複数の関連会社を設立し、事業領域の拡大を進めています。これらの活動を通じて、PFNは、AI技術の可能性をさらに広げ、多様な分野への貢献を目指しています。2023年には、大規模言語モデルPLaMo-13Bを発表し、日英2言語における高い性能で注目を集めています。また、マルチモーダル基盤モデルの商用サービス提供を目指すPreferred Elementsも設立されました。

今後の展望

PFNは、今後もエッジヘビーコンピューティングを核とした技術開発と、多様な産業へのAI技術応用を推進していくと予想されます。オープンイノベーションを重視し、企業や研究機関との連携を強化することで、社会課題の解決に貢献し、AI技術による未来社会の創造に貢献していくことが期待されます。

主要な出来事（年表）

2006年: Preferred Infrastructure（PFI）設立
2014年: Preferred Networks（PFN）設立
2015年: オープンソース深層学習フレームワークChainerリリース
2016年: PFNがん研究所設立
2017年: 日本ベンチャー大賞経済産業大臣賞受賞
2019年: Chainer開発終了、PyTorchへの移行
2020年: ハイパーパラメータ自動最適化フレームワークOptuna正式公開
2021年: Preferred Robotics、Preferred Computational Chemistry設立
* 2023年: 大規模言語モデルPLaMo-13B公開、Preferred Elements設立

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